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漁港を起点に漁村の活気を取り戻す いま取り組みたい 『海業』とは?

2022年3月に動き始めた『海業』が、いよいよ本格稼働する。ここでは『海業』とは何なのか、その狙いと概要、そして最新情報をお伝えしたい。

写真提供/株式会社さかなファーム

「漁獲量が減っている」「漁の消費量が減っている」どちらも事実だが、漁村の魅力は今も変わらず多くの人を惹き付けている。コロナ禍でも変わらず約2000万人/年もの人が漁村を訪れている。これまでも漁村は『海業』に繋がる仕組みを築いてきた。漁港の一角に設けられた直売所や食堂はその象徴だ。この動きを加速して、漁村に活気を取り戻すべく始まったのが『海業』だ。『海業』とは、海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業であり、地域のにぎわいや所得と雇用を生み出すことが期待される事業のこと。


農林水産大臣が定めた基本方針に沿って、漁港管理者(地方公共団体)が活用推進計画(地域実態に沿って事業内容・区域を決める)を策定する。漁協・民間企業などの事業者は活用推進計画に沿った実施計画を策定・申請して、認定されるとその『海業』(漁港施設等活用事業)はメリットを受けることができる。 漁港施設の貸付(最大30年)・漁港区域内水域・公共空地の長期占用(最大30年)などの特別措置が適用される。

法改正のポイントは、海業に取り組むに当たって「民間事業者の資本とノウハウを活用しやすくなった」こと。これまでも民間活用は可能だったが、法律上の障壁を取り除くことでより活用しやすくなった。 水産庁漁港漁場整備部計画課の河野大輔さんが教えてくれた。

「例えば、漁業体験は都市部の子育て家族にとって魅力的なコンテンツです。一方、漁村側には漁に関するノウハウはありますが、サービスを提供する設備の設置や集客や受付システムの構築などは専門の方にまかせたほうが効率的です。 そこを民間企業にお任せし連携して取り組む、ということが、行いやすくなったのです。『海業』は漁業だけでなく、光や経済などとも関連する多様な活動を含みますが、その分複雑です。
そこで、これから『海業』に取り組みたい方に向けて、活用できる支援をまとめた資料と海業振興総合相談窓口(海業振興コンシェルジュ)を設けました。 ぜひ『海業』に積極的に取り組んでいただければと思います」。

水産庁は今後5年間で500件の『海業』実施を目指しており、現在122件のモデル地区が選定されたばかり。本格稼働はこれからだ。 ご興味を持たれた方は是非、周囲の関係者を巻き込んで始動してほしい。

たとえばこんな「海業」も! 漁港の釣り場予約アプリ「海釣りGO」


「釣り人には義務もルールもなく、漁港関係者や地元だけ負担を強いられる………」という不平等を解決すべく誕生した、釣りレジャーを持続可能にする仕組み。アプリでの釣り場予約の際に、ルール遵守を自然な形で義務付け。また、利用時間に応じて釣り人は費用を負担し、漁港管理者を通して漁港の維持管理・資源保護に貢献することができる。 西伊豆町田子漁港では、アプリを用いた漁港の釣り場予約サービスの運用を7月末より開始している。


文/川島礼二郎

FISHERY JOURNAL より転載

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