シロエビ漁で受け継がれる古き良き伝統! 輪番制&プール制の漁師改革
2025/12/17
富山の特産魚といえば真っ先に挙がるのが、美しく透明に輝くシロエビ。このシロエビ漁を独自の仕組みで行い、全国から注目を集めている漁協が射水市にあった。漁師の働き方を安定化させるその手法とは。
1.チームで協力し、労働も収入も分け合う漁師たち
2.1日のタイムスケジュール
3.働きやすい職場づくりのポイント
チームで協力し、
労働も収入も分け合う漁師たち
白く透き通った姿から「富山湾の宝石」と称され、地元の料亭や寿司屋などの高級店からご当地グルメまで、多くの人々を惹きつけているシロエビ。

富山を象徴するこの海産物を獲っている射水市の新湊漁業協同組合では、他ではあまり類を見ないシステムで漁を行っている。それが「輪番制」と「プール制」だ。
シロエビ漁を行う7隻の漁船を2班に分け、3、4隻ずつのA班・B班が1日交代で出港する。A班が漁に出る日はB班は休漁で、陸仕事などを行う。これが「輪番制」。
するとB班は収入が得られないわけだが、それを解決するのが「プール制」だ。A班がシロエビ漁で得た水揚げ収入は、休漁していたB班を含めた7隻で均等に配分する。
個人や漁船単位で収入を得ていく通常の漁師の働き方とは違って、労働を協業して作業負担を減らし、収入を配分する新湊漁協の取り組みはとても今日的に見える。
しかしこれらは今に始まったことではなく、輪番制は平成になってから、プール制は1970年代からと、意外にもその歴史は古い。これらの仕組みのメリットを、新湊漁協の理事で漁師の野口和宏さんはこう説明する。
「新湊沖のシロエビ漁場はそれほど広くないので、全船が一斉に獲りに行ってもしょうがないからプール制や輪番制が生まれたと聞いています。
メリットとして大きいのは、シロエビ漁の効率がよくなって価格や収入が安定することや、過度な漁獲競争がなくなって資源保護にもなること。漁網やロープなど資材の規格を統一して、ある程度のボリュームで発注することでコスト削減ができるのも、このやり方ならではです。
また普通の漁師は自分のやり方を外に教えたりしないものですが、私たちは仲間うちでノウハウを共有していて、網の修理も全員で行います。これらは次の世代への技術の伝承にもつながっていると思います」。

古くて新しいこのやり方は、資源保護や人材活用の観点から、持続可能な漁業への取り組みとして評価され、第30回全国青年・女性漁業者交流大会で農林水産大臣賞を受賞。
休漁している船を野口さんたちが発足させた「富山湾しろえび倶楽部」が漁業観光船として運航し、シロエビ漁をPRしながら地域にも貢献する。
気候変動や能登半島地震の影響からか、昨年から不漁が続くが「シロエビ漁師約40名が一丸となって苦難を乗り越えたい」と語った。
1日のタイムスケジュール
4月1日から11月30日までがシロエビの漁期。漁に出る班は早朝から出勤・出港し、一度帰港してから再び出港する、基本的に1日2回の漁。一方で休漁する班は、自宅や組合事務所で待機する、陸仕事するなどして過ごす。競りの時間になると休漁班の親方も顔を出す。午後になると終業。

働きやすい職場づくりのポイント
給与
シロエビ漁師はプール制によって、各漁船の収益をまとめて均等に配分し、安定的に収入を得られるようにしている。乗組員の年収は国民の平均年収以上が目安。
休暇
日曜日が休日、水・土曜日は不定休で、およそ週に2日ほどが休日となる。野口さんの漁船は冬季は本ズワイガニ漁を行っており、それぞれの漁期の合間に1週間〜10日程度の休暇を挟む。
将来性
輪番制やプール制を導入した勤務体制およびそれを何十年も継続させてきた取り組み、シロエビを未来にわたって残せる資源管理へのまなざしが、持続可能な漁業として注目されている。
取材協力
新湊漁業協同組合
理事
野口 和宏さん

私たちの取り組みでマリン・エコラベル・ジャパン協議会の水産エコラベル認証(MEL)を受けました。魚がおいしいのはもはや当たり前。その上で、多くの方々に選ばれるシロエビでありたいです。
文:本多祐介
写真:若井 憲
FISHERY JOURNAL vol.4(2025年夏号)より転載





