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Smolt、海面養殖向け高温耐性トラウトサーモンの品種開発を開始

株式会社Smoltは、地球温暖化による海水温上昇に対応し、22℃以上でも生育可能なトラウトサーモン品種の開発を開始。持続可能な養殖とSDGs達成を目指す。

トラウト養殖の未来
高温耐性品種開発

昨今、海水温の上昇は水産業界に深刻な影響を与えている。特に冷水を好むサーモン類の養殖環境は年々厳しさを増し、産地や生産量の変動が業界全体の課題だ。

株式会社Smoltが取り組む「22℃以上でも生育可能なトラウトサーモン」の品種開発プロジェクトは、持続可能な養殖産業の未来を切り開く大きな一歩と言える。

以下、株式会社Smoltのプレスリリースより。

株式会社Smolt(本社:宮崎県宮崎市、代表取締役CEO:上野賢)は、地球温暖化による海水温上昇という水産業界の課題に対応すべく、高温耐性トラウトサーモンの品種開発に着手したことをお知らせします。当社の保有する高温耐性サクラマス(サーモンの一種)の育種技術を活用して、サーモンにとって超高水温環境である22℃以上でも生育可能な品種の開発を目指し、社会実装を行いSDGsの達成を目指します。

深刻化する養殖環境の課題

気象庁の報告によると、2023年の年平均海面水温は観測史上最高を記録し、100年あたり0.61℃の上昇傾向が確認されています。トラウトサーモンを含むサーモン類は本来18℃以下の水温帯で養殖される冷水性魚類であり、海水温上昇により養殖適地が減少。これにより、養殖期間の短縮や生産効率の低下が業界全体の課題となっています。特に近年、主要な生産国でも夏季の高水温により生産量が不安定化しており、市場供給への影響が懸念されています。

トラウトサーモン市場の可能性

トラウトサーモン(ニジマス)は、世界の養殖サーモン市場において重要な位置を占める魚種です。大西洋サーモンに次ぐ生産量を誇り、その肉質や食味の良さから、刺身やすしネタとして特に日本市場で高い需要があります。世界の養殖トラウトサーモンの年間生産量は約100万トンに達する勢いで、その需要は着実に成長を続けています。

Smolt独自の育種技術が拓く次世代養殖

当社は2019年の創業以来、従来は養殖に適さないとされてきた宮崎県での海面養殖に成功し、20℃前後の高水温環境での育成実績を重ねてきました。特に以下の特徴を持つ革新的な養殖方式を確立しています:

・6世代にわたる選抜育種による耐性強化
・淡水・海水を組み合わせた循環型養殖システム
・九州、四国、本州での実証実績

次なる目標:22℃以上でも生育可能な新品種の開発

本プロジェクトでは、これまでに蓄積した育種技術を活用し、22℃以上の超高水温環境でも生育可能な品種の開発を目指します。この取り組みにより、以下のような効果が期待されます:

・養殖可能地域の大幅な拡大
・年間を通じた安定生産の実現
・国内サーモン養殖業の競争力強化
・世界的な供給不安定リスクの軽減

SDGsへの貢献

本取り組みは以下のSDGs目標に貢献します:

・目標13:気候変動に具体的な対策を
・目標14:海の豊かさを守ろう
・目標2:飢餓をゼロに(持続可能な食料生産)
・目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう

【会社概要】

社名:株式会社Smolt
所在地:宮崎県宮崎市学園木花台西1丁目1番地 産学地域連携センター
代表者:代表取締役CEO 上野賢
設立:2019年4月11日 事
業内容:水産養殖業、水産に関する技術開発。

引用:Smolt、海面養殖向け高温耐性トラウトサーモンの品種開発を開始(PR TIMES)

気候変動という地球規模の課題に対し、SDGsの達成にも寄与するこのプロジェクトは、養殖可能地域の拡大や安定した食料供給を実現する鍵となるだろう。

これからの水産業界の発展に向け、Smoltがどのような成果を生み出すのか、注目していきたい。

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