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IoTで陸上養殖の課題解決を。アイエンターが水質センサーとAI魚体サイズ測定カメラを展示

ITの総合コンサル企業であるアイエンターは、シーフードショー内で行われたフィッシュネクスト技術展にて、「AI魚体サイズ測定カメラ」と「IoT水質センサー」を展示。養殖の作業効率化とともに、魚へのストレス削減、高精度な計測を実現する。

AIやIoTなどの技術活用で
養殖の課題解決と発展に貢献

2004年に設立されたIT企業のi-enter(アイエンター)は、基幹システム開発からウェブシステム開発、スマホアプリ開発へと事業領域を拡大。現在ではITの総合コンサル企業へと成長を遂げた。2016年には最先端技術研究チームを設け、IoTやAI、XRなどの技術研究を進め、一次産業に対してIT活用による支援を検討した結果、マリンテック事業を立ち上げた。「AI魚体サイズ測定カメラ」、水質計測を自動化する「IoT水質センサー」の提供開始とあわせて、マリンテック事業を「i-ocean」としてブランド展開しているので、ご存知の方も少なくないことだろう。

そんなアイエンターが展示していたのは、閉鎖循環式陸上養殖システム。会場ではオニテナガエビ陸上養殖を実演していた。養殖システムで使われていたのが「IoT水質センサー」。陸上養殖や海上養殖、河川や池の水質データを24時間Webで管理できる。

IoT水質センサーの筐体

水質センサーが自動で計測した水質データは、3G回線/Wi-Fiを通じて蓄積され、Webブラウザから水質データをリアルタイムで参照することができる。さらにデータの分析、水質変化の予測などが可能となるが、アイエンターは養殖事業者が抱える課題に対する解決策まで提示してくれる。展示会場のような陸上養殖に限らず、海上養殖でも使用可能。ヒラメ、ブリ、温泉トラフグの陸上養殖、面白いところでは真珠養殖の水質管理に導入されている。

また、2020年にアイエンターが特許を取得した「AI魚体サイズ測定カメラ」も展示されていた。

魚体サイズ測定カメラ

こちらはディープラーニングの画像認識技術によって魚体を検出し、魚の位置情報から魚の体長と体高のサイズを計測するシステムだ。教えてくれたのはマリンテック事業本部/テクノロジー本部の林将寛さん。

株式会社アイエンター マリンテック事業本部/テクノロジー本部 林将寛さん

適切な給餌量や収穫高を把握するためには、養殖生簀内の魚のサイズは極めて重要な情報ですが、これまでは直接網で魚を取り揚げて計測する手作業で行われていました。これでは時間や人手がかかるうえ、誤差が生じる可能性があります。また、魚を傷つけてしまったり、ストレスが原因で疾患につながる可能性も考えられます。
そこで開発したのが『AI魚体サイズ測定カメラ』です。AI技術を活用することで、手を触れずに魚のサイズを推定することができますから、魚体サイズ計測に掛かる時間と人手を極限まで減らし、効率化することができるうえ、魚にストレスを与えることもありません。また、飼育者のスキルに依存しない高精度な計測を実現します」。

問い合わせ

株式会社アイエンター

取材・文:FISHERY JOURNAL編集部

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