必要な時にサブスクで使える! 養殖場での保守管理を楽にする、水質データ観測サービス
2023/12/07
養殖場など魚が生育する環境で重要となる水質検査。しかし、高品質なセンサーは高価であり、破損のリスクやメンテナンスの手間など維持管理が大変だった。そこで期待されるのが、水質データ観測のサブスク製品だ。
初期投資や保守管理から解放
兵庫県尼崎市に本社を置く環境システムは、1998年の島根県宍道湖-中海での水質調査から事業をスタートさせた。以降、水質計測調査機材の開発、取得データの解析プログラム開発を開始。さらに開発した成果を社会実装できるように単純化したシステムの販売を行うようになった。そんな環境システムが提案していたのが、サブスク(定額制)の水質データ観測サービス。サブスクにすることで、どのようなメリットがあるのだろうか? 代表取締役の鮎川和泰さんが教えてくれた。
「高品質なセンサーは高価ですから、維持管理が大変。サブスクにすることで初期投資が不要になります。気に入らなければ辞めれば良いわけですから、お客様にとっての導入障壁が下がります。センサーや計測システムを海洋で長期計測すると、破損のリスクを抱えることになりますし、メンテナンスの手間やノウハウも求められます」。
環境システム 代表取締役 鮎川和泰さん
「そもそも水産業者の方が必要としているのは計測機材ではなく、水質データです。そのようなお客様の声からサブスクで始める水質データサービスを開始しました。センサーの所有は当社ですので、開始時に決定した定額料金の中で運用中に生じる機器破損のリスクや高度な技術を必要とする機器保守の手間からお客様は解放されます。定額契約の体系は月額単位のため、水質データ観測を体験してみたい方、初期投資をしたくない方、必要な時期だけ水質データが欲しい方、それぞれの皆様に使えるサービスだと思いますよ」。
もともと自ら現地調査を行っていた同社なので、ブイなど設置に必要な機材が一式で宅配便でユーザーの元に届けられる。観測用ブイに接続したセンサーデータは定期的にクラウドへ転送されることで、ユーザーは所有端末から水質データを確認できるほか、任意の閾値を儲けた警報メールアラート機能も標準装備している。
写真は新製品のセンサー(in-Situ社の製品)
「センサーを扱う専門業者が提供するデータ提供サービスは、計測されたデータに重きを置いたシステムです。ご興味を持たれた方は是非、ご連絡ください」。
養殖場など魚が生育する環境で使用する水質観測用センサーでは、付着生物への対策が求められる。高度なセンサー技術とともに、洗浄機能やセンサーのデザインが重要である、と言い換えることができる。環境システムが新たに導入するin-situ社のAquaTROLL水質計は、センサーの感応面を平面にデザインしてブラシの掃除効率を高めたほか、人の手で掃除しやすい単純な形状にすることで、付着生物と長く付き合っていくことが出来る、現場を熟視したエンジニアによるデザインが採用されている。
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取材・文:FISHERY JOURNAL編集部