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漁業で活用実績も高い水中ドローン。知っておきたい基礎知識や有用性

経費削減や人手不足の解消など、いくつものメリットが期待できる水中ドローンのニーズは、今後、さらに高まっていくと考えられている、水中ドローンが本格的に活用される時代に備え、まずは水中ドローンの基礎知識を身につけてはいかがだろう。

<目次>
1.“高性能”ながら”コンパクト”が水中ドローン普及のポイントに
2.さまざまな用途で活用され普及を推進する動きも活発化
3.水中ドローンを活用することで人材不足のカバーが可能に
4.水中ドローンの導入費用の相場
5.注目製品➀ CHASING CHASING M2シリーズ
6.注目製品➁ MOGOOL MOGOOL M8
7.注目製品➂ QYSEA FIFISHシリーズ

 

“高機能”ながら”コンパクト”が
水中ドローン普及のポイントに

水中で活動する無人探査機の通称が、水中ドローン。その最大の特徴は、船上や陸上からの遠隔操作を受け、リアルタイムで水中の映像を届ける点だ。

水中で遠隔操作ができ、なおかつ映像を届けるロボットには、全自動で動く「AUV(自律型無人探査機)」や、ケーブルを介して人が操縦する「ROV(遠隔操縦型無人探査機)」など、複数のものがある。現状、実用性がもっとも高いと考えられており、海の現場で普及しつつあるのは、ROVだ。水中ドローンの普及を推進する国内初の団体「日本水中ドローン協会」では、こうした現状を鑑み、ROVを水中ドローンと位置づけている。なお当協会は、重量70kg以下、長辺1m以下の小型ROVを水中ドローンと定義している。

ROVの歴史は長く、1960年代にはその開発が始まったといわれている。軍隊や国の研究機関などで活用され、民間企業には浸透しない期間が長く続いたが、時代が進むにつれ水中ドローンに関する技術は発展していった。
日本では、2019年頃から水中ドローンの普及が急速に進んだ。そのきっかけの一つが、コンパクトながら高精細な水中映像や写真を撮影できる水中ドローンCHASING GLADIUS MINI」の登場だ。本機が登場し、国内での普及に拍車がかかった2019年は、“水中ドローン元年”と呼ばれたという。

さまざまな用途で活用され
普及を推進する動きも活発化

国内における水中ドローンの市場規模は順調に拡大しており、近年は前年比27~30%ほどのペースで成長している。なお、水中ドローンの用途はさまざまだ。海に面した水中構造物やインフラ、河川に設置されている管理設備などの点検時に使われているほか、水難救助の現場でも活用されている。もちろん、漁業の現場での活用シーンにも広がりをみせている。

QYSEA FIFISHシリーズ

国内では、水中ドローンの普及を進める動きも活発化している。具体的な事例の一つとして、「国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」が今年1月に開催した「NEDO懸賞金活用型プログラム」だ。このプログラムは、「浅海における短時間計測・観測システムの開発」を目指したもので、水中ドローンをはじめとする海洋観測技術の普及に拍車をかけた。

このほかにも、2030年までに国内のAUV産業を推進し、海外展開まで可能となることを目標とする「AUV戦略」(内閣府)、「スマート水産業普及推進事業」(水産庁)など、大規模なプロジェクトが実践されている。

水中ドローンを活用することで
人材不足のカバーが可能に

高齢化や潜水作業を担う人材の減少も、漁業界が抱える課題の一つ。こうした課題の解決に役立つのが、水中ドローンだ。
まず、水中ドローンを活用することで、点検作業にかかる手間や労力を削減できる。カメラを通し、リアルタイムで水中の様子を見られるため、養殖の現場では網や水産物の状態を、藻場造成の現場では藻場の育ち具合を手軽に確認できる。潜水することなく、陸上にいながら点検作業ができるようになれば、それは作業時にかかる労力や費用の削減に直結する。

MOGOOLシリーズ MOGOOL M8

また、生簀の状態の確認時は、水深40m以上の水域まで潜水して撮影・確認を行うケースもあり、その場合は身体的負担がかかるほか、危険が伴う。こうしたシーンでも大いに有用性を発揮するのが水中ドローンだ。潜水時に必要となる作業の一部を水中ドローンを使って行うことで、潜水作業の危険性が軽減されるほか、減圧症なども回避しやすくなる。さらには水中ドローンには、長時間の撮影と調査を可能にし、水質把握などを容易にするというメリットもある。

水中ドローンの
導入費用の相場

水中ドローンには様々なモデルがあり、なかにはロボットアームを備えるものや、音波を利用して水中の物体を可視化する「イメージングソナー」を搭載するものも。こうした産業現場での活用を前提としたモデルには、数百〜数千万円のものが多く、これが水中ドローンの一般的な相場となっている。しかし、水中観測のみをドローンの活用目的とする場合、出費を大きく抑えることも可能に。カメラのみを備えるモデルであれば、50万円程度で購入できる。

初めて水中ドローンを使用する場合は、安全に運用するための基礎知識も身につけておくと安心だ。国内には水中ドローンに関する法令やルール、水中事業の基礎知識などが学べるスクールがある。なお「日本水中ドローン協会」が定める基準を満たした認定スクールでは、10万円前後の費用で講習受講と「水中ドローン安全潜航操縦士」のライセンス取得ができる。

代表製品➀
CHASING CHASING M2シリーズ

ここからは、漁業の現場でも活躍する水中ドローンの代表的な製品を紹介する。

左上:CHASING M2 PRO MAX/中:CHASING M2 PRO/下:CHASING M2S
CHASING M2 PRO MAX。現在、CHASING M2シリーズのなかで最も出荷が多いモデルだという。

環境や用途に合わせた機種選択が可能CHASING M2シリーズ。水産庁「スマート水産業普及推進支援事業」のスマート機器として登録され、水産業での導入実績も豊富だ。
各モデルの基本セットの価格は約40万〜100万円とさまざまで、用途や予算に応じて最適なモデルを選択できる。直感的な操縦と8基スラスターの安定性が特長。濁った水中でも稼働できるようソナーが搭載できるほか、必要に応じて、衝突防止センサーの搭載や採水など、用途に合わせてオプションの拡張もできる。

問い合わせ先

株式会社スペースワン
TEL:03-5812-4694
HP:https://chasing.jp/ 

代表製品➁
MOGOOL M8


高い推進力をもち、最大深度1,000mまで潜水可能な「MOGOOLシリーズ」。稼働時間に制約がないのも特徴だ。
本シリーズの「MOGOOL M8」は、8枚のスラスタを保有し、機体を360度回転させることによって全方向の撮影を可能とするROV。 360度の回転ができるROVは小型のものが多いため、重量17kg、最大深度150mのスペックをもちながら360度回転ができるROVは珍しい。漁業の現場にて「MOGOOLシリーズ」は、人工魚礁のモニタリングなどに活用された。

問い合わせ先

JOHNAN株式会社
TEL:0774-43-1486
HP:https://www.johnan.com

代表製品➂
QYSEA FIFISHシリーズ


QYSEAのFIFISHシリーズは、水中で360°全方向に動ける小型・高性能ROV。水中の撮影やリサーチを行う時はもちろん、生け簀内の魚や漁具の状態をチェックする際も活躍するモデル。
高画質カメラが搭載されており、濁りのある水中でも視認性を確保できるのもポイントだ。4K、水中視野146°、最短撮影距離10cmを実現した高性能カメラと10000ルーメンのLEDライトで、鮮明で美しい映像を撮影できる「FIFISH E-GO_STANDARD」などがある。

問い合わせ先

CFD販売株式会社
TEL:03-4213-1144
HP:https://www.cfd.co.jp/

監修者

一般社団法人日本水中ドローン協会 副理事
植木美佳さん

2019年より現職。水中ドローンの普及に努めると共に、全国各地で水中ドローンに関するデモンストレーションと講演を行う。「株式会社スペースワン」ドローン事業部に所属し、機体販売および活用提案、導入支援に携わる。


文/緒方よしこ

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