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漁業の未来を変える最新技術が集結!「気仙沼市水産DX EXPO 2025」レポート

さる10月30日、宮城県気仙沼市で地域水産業のデジタル化をテーマとした展示会「気仙沼市水産DX EXPO 2025」が開催された。水産業の課題解決に向けた最新技術が全国から集結!そのうち3社の技術をピックアップしてご紹介しよう。

<目次>
1.「気仙沼市水産 DX EXPO 2025」とは
2.海の「勘」をデータに変える「トリトンの矛(ほこ)」
3.海を”見える化”する「うみログ」
4.“金融の枠”を超えた挑戦「きりつけ革命」

 

「気仙沼市水産 DX EXPO 2025」とは

カツオの水揚げは25年以上連続日本一。遠泳漁業をはじめ、県外の船も多く入港する遠洋近海漁業の拠点としても知られる宮城県・気仙沼市。水産庁の「デジタル水産戦略拠点」にも選定される同市を舞台に、水産業の持続的発展と生産性向上を目指す「水産DX」の最前線を紹介するイベントが開かれた。

会場には通信インフラ、AI画像解析、EC、求人支援など、全国24社・団体が出展。基調講演では、東京海洋大学名誉教授の東海正氏、気仙沼市デジタル補佐官の種子野亮氏、株式会社フーディソン代表取締役CEOの山本徹氏らが登壇し、AIやIoTを活用した「漁業データの見える化」や「オンライン鮮魚流通の革新」など、現場と技術を結ぶ多彩なテーマが語られた。

主催は気仙沼市デジタル水産業推進協議会。気仙沼市が描く「水産DXの気仙沼モデル」を全国へ発信する場となった。

海の「勘」をデータに変える
「トリトンの矛(ほこ)」

オーシャンソリューションテクノロジー株式会社(長崎県佐世保市)が開発した「トリトンの矛」は、漁師の経験と勘をデータ化し、次世代へ継承するための水産DXツール。漁船の航跡データや海水温・潮流など日々の海況情報を自動で取得し、AIが操業日誌を自動生成してくれる。

漁獲量や操業位置を「見える化」することで、効率的な漁場選定や燃料削減、資源管理をサポートする。衛星通信やクラウド連携にも対応しており、通信圏外の漁場でもデータ取得が可能だ。

さらに今回はオプション機能の救援支援システム『トリトンの矛レスキュー』も紹介された。ライフジャケットにエッジデバイスを装着することで、漁船に搭載したIoT機器と連携。漁業者が転落時にエッジデバイスを押すことでSOSが発信され、仲間の船や漁協、家族等のメールやLINEに自動発信される仕組みだ。

海を”見える化”する
「うみログ」

株式会社アイエスイー(三重県伊勢市)が開発した「うみログ」は、海洋環境をリアルタイムで可視化するIoTシステム。これまで漁師や養殖事業者が長年の経験や勘に頼ってきた「海の変化」をデータ化、より安定した生産と効率的な操業を支える

海上に設置した観測装置が、水温・水位・潮流・GPSなどのデータを30分ごとに取得。スマートフォンやパソコンから、離れた場所でも海の状態を確認できる。装置はソーラーパネルとバッテリーを搭載し、停電時や悪天候下でも自立稼働が可能だ。

用途に応じて、塩分濃度、クロロフィル、溶存酸素、流速などのセンサーを追加できるため、ノリやカキ、真珠など多様な養殖業に対応。また、「うみログ」はLTE通信などを活用し、離島や外洋に近い漁場でも利用可能。現場に行かずに海況を把握できるため、リスク低減や労力削減にも寄与している。

“金融の枠”を超えた挑戦
「きりつけ革命」

最後に紹介するのは三菱UFJ銀行の法人営業課長・畠山哲平氏が金融の枠を超えて提案した「きりつけ革命」。

アナログ作業が多い水産流通の現場をデジタル化し、業界全体の生産性向上を目指すDXプロジェクトで、水産流通における取引情報を自動でデータ化し、AIが解析・共有できるようにする仕組みだ。これにより、産地からの出荷情報がリアルタイムで把握でき、漁業者・市場関係者・金融機関が共通のデータ基盤をもとに判断できるようになる

この構想は、MUFGグループがボトムアップでのアイデア創出を行う場として立ち上げた新規事業開発プログラム「Spark X2024」でグランプリを獲得したもの。

気仙沼出身で父親が漁師という家庭で育った畠山氏は、大手銀行の法人営業としてのキャリアを重ねる傍ら、水産業の現場で地道なヒアリングを重ね、人手不足、情報の分断、アナログ取引の非効率といった地方の水産業が抱える課題に改めて直面。「紙とFAXが今も主流。せっかくのデータが蓄積されず、経験と勘に頼った取引が続いている」と感じ、そこに、デジタルと金融を融合させた発想が生まれた。「きりつけ革命」は今後、MUFGグループの支援を受けて事業化が進む予定だ。


写真・文:塩坂佳子

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