無理なく安定収入を実現! 売れるEC販売のはじめかた
2026/04/14
漁獲量の減少や販路の変化に悩む漁業者の間で注目を集めるEC販売。現場の「当たり前」を消費者の「価値」に変え、無理なく安定した売上を築くためのコツを、食品専門のECコンサルティング会社・株式会社ヨーシーの佐藤まどかさんに教えてもらった。
ネットショップをはじめる時、
最初にすることって?
営業時間や発送日の指定などの、お店のルールを作りましょう。
問い合わせに返信がなかったり、直前に水揚げできなかったので商品がないなんてことがあれば、お客さまが離れていくのは当然です。
逆にお客さまの要望にすべて応えようと無理をすると、漁や加工といった本業に支障が出てしまう。
そのため、「午前10時~午後3時 メールのみ」のように確実に連絡が取れる営業時間と方法を設定し、発送日の目安を伝えるなど、お店のルールを決めて、ちゃんと守ることが大切です。
お客さまが安心して利用できれば、リピーター獲得にもつながっていくでしょう。
水産物のEC販売で
気をつけることは?
商品の説明不足によるクレームを防ぐことです。
お客さまは必ずしも海産物の扱いに慣れているわけではありません。例えば、鮮度の証である魚の「ぬめり」を傷みと誤解したり、殻が少し開いたホタテを見て「死んでいるのでは?」と不安を感じたりするケースも少なくありません。
こうした認識の差を埋めるために、「配送中に殻が開くことがありますが、お刺身で問題なくお召し上がりいただけます」といった説明を、商品ページや同梱チラシで先回りして丁寧に伝えることが重要です。
お客さまの不安を安心に変える細やかな配慮こそファンづくりの第一歩なのです。
売れているネットショップに
共通するポイントを教えてください。
「伝わる言葉選び」「背景にあるストーリー」「食卓に並ぶイメージ」の3つがお客さまに伝わることを意識しましょう。
【伝わる言葉選び】

例えば、業界用語の「玉冷(たまれい)」は「冷凍ホタテ」のように、漁業の世界では当たり前の専門用語をそのまま使わず、誰にでもわかる表現を選びましょう。
こだわりが強い生産者ほど専門的な説明に陥りやすいため、買い手の目線に立ち、自分たちの商品の魅力が正しく伝わるように言語化する姿勢を心がけましょう。
【背景にあるストーリー】

同じ海域や漁法でも、「鮮度を保つための船上での一手間」や「家族に食べさせたいものしか送らない」といった生産者個人の「体験」や「人柄」は、食品に味以外の付加価値を与える唯一無二のもの。
仲買人や卸先の人に聞いてみると、「○○さんの魚は鮮度がすごい」など、自分では気づかなかった強みを教えてくれるかもしれません。
【食卓に並ぶイメージ】

生産者は水揚げ直後の鮮魚の状態を重視しがちですが、消費者が期待しているのは、こんがり焼けたサンマや、脂の乗ったブリの刺身など、おいしい料理になること。
獲れたての「入口」よりも、実際に食べる直前の「出口」のイメージを写真や動画で視覚的に伝えることで、消費者の購買意欲を刺激し、売れる商品へとつながります。
教えてくれた人
株式会社ヨーシー
佐藤まどか さん
北海道グルメECサイト運営歴11年。商品バイヤー兼責任者として10年以上活躍。北海道フードマイスターやフードコーディネーターなどの資格を生かし、EC運営の効率化と食文化の発信に取り組んでいる。
イラスト/アサミヤ カオリ
FISHERY JOURNAL vol.5(2026年冬号)より転載



